祖母とネコと私

2017私が小学生の頃に、海の近くにあった古いお家に祖母は一人で住んでいました。
家族の中で一番近くに住んでいた父と母に連れられ、週に一度は様子を見にきていたのです。
祖母はいつも海が見える窓辺に座り外を眺めているのが好きで、私も祖母の隣に座りながら何か話すわけでもなくただただお茶を飲みながらゆっくりとしていました。
そんな祖母の家にいつしか一匹の野良猫が寄り付く様になり、祖母は猫をいつしか自宅に招き入れ飼う事にしました。
昔、父がまだ小さい時に猫を飼っていたそうで家族皆で猫を飼う事には賛成しましたがその野良猫は気性が激しく祖母以外は全く近寄ってこなかったのです。
猫には名前が名付けられ「ネコ」と呼ばれる様になり、祖母は今まで私が見た事がない位に体を動かしいつしか窓辺でただ外を眺めるだけではなくなりました。
いつもボーッとしている祖母しか知らなかった私は、祖母がネコと戯れているのを見て何だか安心したのです。
私も何とかネコと仲良くなれないか頑張ってはみなものの、手や足や顔までも引っ掛かれてとても悲しかったです。
ですが祖母は「ネコは少し警戒しているだけで、本当は仲良くなりたいのよ」と言い、私もそうだと願いながら頑張ってネコに好かれる様にしました。
そうしていると、触れる事すら難しかったネコからその内寄ってくれる様になり私とネコはとても良い友達になっていきました。
中学に上がる頃、祖母は家族に見守られながら静かに天国へと旅立ちました。
お葬式の後に私は溢れ出る涙を抑えきれず、祖母がいつも座っていた場所に座り海を見つめているとネコはそっと傍に寄ってきて私の手を舐めて慰めてくれたのです。
ネコもにゃあにゃあと海に向かいながら鳴いていて、私の目にはネコも泣いているかの様に見えました。
それからしばらく祖母の家は空き家となっていましたがリフォームし、私の家族が住む事になりました。
私は高校へ入学し、慌ただしく毎日を過ごしています。
特に朝はバタバタと学校へ向かいますが、祖母が亡くなった時にお願いして引き取ったネコが玄関から今日も見送ってくれました。

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