猫がやってくる夏

「お前の顔が見られるだけで満足だ」と電話口では言っていた両親も、毎年ダラダラと実家で過ごす息子の姿を見ていると、ついつい口を出したくなるのか「お前は昔っから引きこもりがちな子供だったねぇ」と皮肉を言いながら呆れ顔になります。 しかし、今年はそうもいかなくなりました。両親から「猫を引き取ってくれないか」と頼まれたのです。「盆に帰ってきた時に、連れていってくれないか」と。

自分が面倒くさがりであることをよく知っている両親は、「一人暮らしは寂しいだろう」などと理由を付けて、最後には「子供の頃から動物が好きだったろう」と説得され、実家で保護している猫を飼うことになりました。 決めてしまったのだから、責任持って猫を迎え入れましょう! まずは飼うための環境作りです。ケージや寝床、エサ入れにトイレ、遊び道具もいくつか用意しました。飼育本も買いました。

去年までは自分一人の荷造りをすればよかったのですが、今回は違います。猫の移動手段も用意しなければなりません。自分用のトラベルバッグの隣に買ってきた猫用キャリーケースが仲間入りしました。行きは一人旅でも、帰りは二人旅です。

こうやって準備をしていると段々ワクワクしてくるもので、今では猫に会える盆の日を今か今かと指折り数えている始末です。実は、飼うことになった猫の顔をまだ見たことがありません。両親は極度の機械オンチで、写真をメールで送ることができないのです。 まだ見ぬ新しい家族の顔をアレコレ想像しながら、今年のお盆休みを楽しみに待っている毎日です。