鼻息で好物を吹き飛ばしちゃう愛猫

スコティッシュ・フォールドがいます。既におばあちゃんで性格は温厚、我が家の癒しのマスコットとして毎日活躍してくれているのですが、彼女は私に、猫によって食べものの好みは本当に違うのだなあ、としみじみと思わせてくれた猫でもあります。
猫を飼うのは彼女で5匹目ですが、皆それぞれに味の好みは違いました。人間の晩ご飯のお刺身を狙う子もいれば、刺身には見向きもしませんが出汁につかった小魚は大好物で、あの小さい舌で綺麗に三枚におろし、骨だけを整然と並べて立ち去る子、缶詰は見向きもしませんが、安物のドライフードはガツガツ食べる子などです。そして現在の猫は、大好物がフランスパンなどのサクッとしたパンの皮です。
普通のトーストでもパンくずをわけて、と寄って来るのですが、フランスパンになると目の色を変えて要求します。パンではなく、あくまでもパンくずというところが奥ゆかしい、と思うのですが、人間にとってちっとも迷惑ではないので毎回あげることになります。
ある日パリジャンを買ってきて、これは猫が好きだから、皆食べたらくずを集めてあの子にやってね、と言いました。子供も夫も強力してくずを集め、それを判って待っていた猫は尻尾をピンとあげたままで興奮していました。
「はい、お待たせ」と彼女の前にパンくずを集めたお皿を置いたところ、とても興奮していた彼女は鼻息も荒くお皿に近寄ったのです。結果、強い鼻息で舞い上がったパンくずは一斉にお皿から消え、猫は皿の上にかがんではみたものの、パンくずなどもう残っていませんでしたから、怪訝な顔をしていました。一連のシーンを目の当たりにした家族は大爆笑、何故人間が笑っているかが判らない上に期待したパンくずがなかったので、彼女は不機嫌になって立ち去ってしまいました。
13歳にもなっていましたから、老眼で散らばってしまったパンくずが見えなかったのでしょう。鼻もすでに悪くなりかけています。しかし猫が興奮のあまり鼻息で好物を吹き飛ばしてしまったことは、今でも我が家の笑い話です。

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